能登プロジェクト 井戸設置14箇所地図
能登簡易井戸設置プロジェクト

能登半島地震の発生から約1カ月が過ぎた2月初旬
メディア等から引き続き断水が続き、復旧が難航している状況を多く耳にしていました。
いつも倉庫で現場準備をする際に、ひと段落するとそこに居るメンバーみんなでストーブを囲み、
コーヒーを飲みながら談笑する時間があります。
そんな会話の中から今回の能登プロジェクトは生まれました。


「井戸掘りに行ったらええやん」


地質調査の会社なので地下水の観測孔含め、井戸を掘る技術があります。
その技術をそのまま生活用水の為の簡易井戸設置として活かせるのではないかと考えました。
私たちにとっては発想はとてもシンプルでした。


しかし、民間企業としてのボランティア経験は全くなく、実際に現地で作業をするに至るまでは数々の苦労がありました。
多くの方々との繋がりや協力から、なんとか最初の1件目に繋げられました。
井戸掘削は2月17日土曜日。その日の様子はメディアやSNS、新聞にも取り上げていただきとても多くの反響がありました。
関わっていただいた皆様には感謝してもしきれません。


能登半島を可能な限り駆け回り、掘削実働日としては延べ8日間
計14箇所で簡易井戸設置をすることができました。

地下水は地形や地質に大きく左右されます。
どこで掘っても水が出る訳ではありません。
水を通しにくい地層であれば、汲み上げ水量の少ない井戸になってしまうこともあり、全く水が出ない場合もあります。
掘削経験のない場所で、生活用水として活用していただける井戸が設置できるかどうか不安も多くありました。


地質判定の為に土のサンプリングを行い、地層に合った井戸構造を選定し、汲み上げ水量や地下水位の低下量等も必ずチェックする。
いつも行う作業をしていたつもりでしたが、簡易ポンプのホースの先から水が出た瞬間に歓声が沸き上がるのです。喜びと安堵が入り混じった様なご依頼主様の表情を見ると、通常業務だけでは感じることのできない感情が沸き上がり、やって良かったと心底感じました。


被災状況を目の当たりにしながら、正直気が滅入ってしまうこともありましたが、生活再建の為に働いておられる人々や、ご依頼主の方々にむしろ勇気付けられる場面が度々ありました。
ご自身も被災されているにもかかわらず、洗濯場や手洗い水として地域の方々とも使いたいと言ってくださるご依頼主様がほとんどでした。


14箇所。そこには辛い経験を乗り越えようと前を向き、一所懸命に、確かな一歩を歩もうとする強くて優しい方々がおられました。
私達も日々の仕事や生活に戻った今こそ、平穏に過ごせている幸せを当然と思わず、一所懸命に生きて活かされていきたいと思っています。